今日の一曲(青野賢一):Kev Hopper “Windfall”

先頃発売されたThe Cinematic Orchestra『In Motion #1』をよく聴いているせいもあり、シネマティックな音楽を中心に、サイケデリック風味を少し加えてお届けした3月24日のNEWSOUND。いわゆるサントラからもプレイしましたが、それ以外の様々なジャンル、時代の音楽を通じ、そうした雰囲気を作るような選曲を心がけました。

ベルギーのチェンバーロック/サロンミュージックバンドJulverne、インダストリアル/ノイズのカルトグループThrobbing Gristle、Airによるサイレントフィルムの傑作『月世界旅行』の架空のサウンドトラックなどとともにプレイしたのが、今回紹介するKev Hopperの「Windfall」です。

Kev Hopperは、元Stumpのベーシストですが、それは80年代のこと。ここ最近ではミュージカル・ソー(のこぎり)の名プレーヤーとしての方が通りがいいかもしれませんし、The High LlamasやStereolabとコラボレートしていたことで、その名を知っている方も多いかと思います。そんな彼の6年振りとなる新作が、日本限定で今年の1月にリリースされました。このアルバム『The Germjoin』は、大半をボーカル曲が占めていますが、今回プレイした「Windfall」は、ミュージカル・ソーとハミングが中心の曲。ハミングはKevの子どもが担当しています。ハミングパートのちょっと可愛らしいムードと、その他のパートの不穏でストレンジな雰囲気が絶妙で、この曲を最初に聴いた時に頭に浮かんだのは、Nino Rotaが手掛けたフェリーニ『カサノバ』のサントラでした。

アルバム全体にも、こうしたトーンは共通しているのですが、同時にフォーキーで温かみのある印象もあるので、のんびりした午後のお伴におすすめしたい作品と言えるでしょう。

(青野賢一)

3月 27, 2012 by Tsurutani
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