今日の一曲:David Sylvian “Words With The Shaman”

5月のNEWSOUNDは、いつもとは趣を異にし、18時から21時まで高木慶太くん選曲による「カエターノの夕べ」、その後21時からはいつものNEWSOUNDという流れで行いました。「カエターノの夕べ」は、初夏の夕方に相応しい雰囲気で、カエターノファンの方も多数詰めかけるというような状況からバトンを受け取り、まずはアストル・ピアソラからエキゾティックジャズ、シャンソンなどをプレイ。徐々にウェットかつ仄暗い方向に導いていきました。中盤から後半には、NEWPORTでもよくかかるJulia Holterの深遠なドリーミィポップ、Throbbing Gristleの硬質でダークなナンバーなど、「カエターノの夕べ」からは想像もつかないところまで到達したわけですが、今回は、そのあたりでプレイしたDavid Sylvianの「Words with the Shaman」を紹介しようと思います。
1982年のJapan解散後、ソロアーティストとしての活動をスタートしたDavid Sylvianは、翌年暮れにソロアルバム『Brilliant Trees』のレコーディングを開始します。このレコーディングには、Japan時代から親交の深かったYMOの坂本龍一のほか、Holger Czukay、Jon Hassellらが参加。続くミニアルバム『Alchemy – An Index Of Possibilities』(1985)は、前作の流れを受けて東京とロンドンでレコーディングされたもので、「Words with the Shaman」は、そこからの12インチシングルです。1曲がパート1からパート3に分けられて、A面B面に割り振られている本作から、この夜にプレイしたのはパート2「Incantation」。プリミティヴな印象すらあるパーカッションは実弟のSteve Jansen、ミニマルなリフに緊張感を加えるBryan Eno+David Byrne「Regiment」のようなアヴァンギャルドなギターはDavid本人です。タイトル通り、どこか呪術的ではあるものの、クールな表情は崩さないところがDavidらしいところといえるでしょう。
(青野賢一)

5月 31, 2012 by Tsurutani
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