今日の一曲:Yellow Magic Orchestra “東風”

1/26(土)の「YMOナイト」、とても大勢のお客様にお越しいただきありがとうございました。結局、5時間以上に渡りYMOと各メンバーのソロ作品、そしてカバー作品をプレイしたのですが、まだまだやれる、そう感じました。トップバッターのDJ、美穂ちゃんはしっかりと練ってきた選曲を披露。続く美緒ちゃん(BYT)は、静かな感じでいくのかと思えば、2トーン・スカの影響をモロに受けた「Multiplies」などもプレイし、幅広い選曲で楽しませてくれました。
私は1セット目は各メンバーのソロ作品を多めに選び、2セット目に往年のYMOの曲を中心にプレイ。なるべくDJ的なアプローチで曲を聴かせるべく、ダンスミュージックをミックスするように、繋いでいくパートを意識的に多くしました。本当にどの曲もそれぞれのよさがあり、「今日の一曲」はなかなか決めにくいのが正直なところですが、一晩で何度かバージョン違いがかかった「東風」を挙げておきたいと思います。
「東風」は、YMOのデビューアルバム『Yellow Magic Orchestra』に収録されたのが最初。1978年のことです。アールデコ調のイラストが描かれたジャケットの日本国内発売盤には「東風(Tong Poo」と表記されていますが、その後にリリースされた同アルバムのUS盤(髪の毛がケーブルになった女性のジャケット)は「Yellow Magic(Tong Poo)」となっていて、間奏部分に日本盤にはなかった吉田美奈子のコーラスが加えられています。音のミックスも日本盤とUS盤では全く違うもので、US盤の方がメリハリの効いた明るい印象です。同じタイトルのアルバムでもこれだけ違う上、ライブバージョンはまた時代によって大きく異なります。1979年のワールドツアーは、曲の構成はアルバムバージョンに近いのですが、間奏パートは渡辺香津美のギターソロ。1980年の国内ツアーでは、それを下敷きにドラムに2トーン・スカのエッセンスを加えた演奏に。このツアーでは大村憲司がギターソロを披露しています。同じ年のワールドツアーでは、矢野顕子のアルバム『ごはんができたよ』に収録のボーカルバージョン(これも素晴しい)とほぼ同じ、沖縄を感じさせる跳ねたリズムとなり、それまでの長めのソロパートを割愛したシンプルな演奏へと変化しました。
今回、美緒ちゃんが先に日本盤バージョンの「東風」をプレイしていたので、私は80年のワールドツアーのライブバージョンとUS盤の12インチシングル(バージョンはUS盤アルバムと同じ)とをミックスしてかけました。こんなことが出来るのも、この1アーティスト縛り企画の面白いところではないでしょうか。ストリーミングには日本盤のバージョンを選びましたが(画面に出てくるジャケットはUS盤のもの)、他のバージョン(特にライブ)も併せて聴くと、曲の変遷が分かって面白いと思います。
さて、長々と「東風」について書きましたが(まだまだ書くべきことはあります)、YMOはそのくらい奥が深く、曲も演奏もバリエーション豊富だということを改めて認識しました。持ってきたけれどかけられなかった曲もまだまだたくさんあるので、また是非やりたいと思います。「YMOナイト」。

(青野賢一)

1月 31, 2013 by Tsurutani
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