今日の一曲:Prefab Sprout “Goodbye Lucille #1 (Johnny Johnny)”

寒さが緩んだかと思うととてつもなく冷え込んだり、まさに三寒四温といったここ最近の東京。先週の土曜日「NEWSOUND」の日は、そこそこ暖かくて、春が少しずつ近づいているような心持ちになりました(まぁ夜は結構寒かったのですが)。そうした陽気を反映して、この日の選曲はちょっとだけ春っぽい楽曲を多めにプレイ。The Beach Boys『Pet Sounds』やVan Dyke Parks『Discover America』といったアルバムからの曲や、ニューヨークのバンドIvy(特に初期作品が好きなバンドです)の曲、またTwin Sisterやここでも何度か紹介されていたYo La Tengoの最新作『Fade』からの曲など、幅広い年代のロック、インディ・ロック、オルタナティヴ・ロックを選曲しました。そうしたセットの中でも、春のあの”胸キュン”な雰囲気を表現してくれたのが、今回紹介するPrefab Sprout「Goodbye Lucille #1 (Johnny Johnny)」です。

Prefab Sproutは1982年デビューのイギリスのバンド。1982年というと、ニューウェーヴ、シンセ・ポップ全盛という時代で、自主制作盤とその後に出たデビューアルバム『Swoon』に続いてリリースされた『Steve McQueen』(1985年)は、キーボーディスト/シンセサイザー奏者として知られるThomas Dolby(後に坂本龍一とコラボレートした作品も出しています)をプロデューサーに迎えて制作されました。「Goodbye Lucille #1 (Johnny Johnny)」は、その中の一曲です。静かなギターのリフによるイントロ、リバーブの効いた「Johnny, Johnny, Ooo…」というコーラス、それらをストイックに支えるリズム隊。もうワンコーラス目からかなり心奪われてしまいます。そして、サビでグイッと音が分厚くなり、ボーカルがハイトーンになる頃には、思わず内股になってしまう(?)そんな胸キュン・チューンといえるのではないでしょうか。音のことでいうと、スネアの音色がこの時代らしさを感じさせますね。

「Goodbye Lucille #1 (Johnny Johnny)」収録のアルバム『Steve McQueen』は、発売当時アメリカだけ『Two Wheels Good』というタイトルでリリースされていましたが、何ともアメリカ向きの薄っぺらなタイトルで、シニカルなイギリス気質が漂うのが面白いところ。ちなみに彼らにとっての大きなヒットであった「The King of Rock ‘N’ Roll」(1988年)は、naomi & goro & 菊地成孔のアルバム『calendula』の中でカバーバージョンを聴くことが出来ます。

(青野賢一)

2月 27, 2013 by Tsurutani
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