今日の一曲 : Slim Gaillard “Yip Roc Heresy”(『オン・ザ・ロード』より)

昨日から公開が始まった『オン・ザ・ロード』を早速観てきました。ジャック・ケルアックの原作『路上/オン・ザ・ロード』は言わずと知れたビート・ジェネレーションを代表する文学作品で、これまでに何度も映画化が企画されるもことごとく頓挫。そして70年代末にフランシス・フォード・コッポラが映画化権を取得し、何人かの脚本家や監督と試みたもののいずれも上手く行かず、2004年の『モーターサイクル・ダイアリーズ』に感銘を受けたコッポラが監督のウォルター・サレスにオファーして遂に実現。原作を読んだ人なら分かると思いますが、この小説の映画化はさぞや大変だったでしょう。ウォルター・サレスはリサーチだけで3年もかけたらしいです。その甲斐もあって、映画は原作の雰囲気がよく出ていて楽しめました。特に俳優たちがみんな、原作の登場人物から想像するキャラクターそのまんまで、これはよくやったなぁと言うしかありません。

原作の時代設定は1940年代後半。ジャズがスウィングからビバップへと移行した時代で、ケルアック自身もジャズの即興演奏に影響を受けたとされ、勢いとリズムを重視した文体で一気に『路上/オン・ザ・ロード』の最終稿を書き上げたと言われています。映画の中でも、ニューヨークのジャズ・クラブでのビバップの演奏に熱狂するシーンや、ホームパーティーでかかる “Salt Peanuts” で踊りまくるシーンがあります。サンフランシスコのクラブでは、Slim Gaillardが演奏する “Yip Roc Heresy” をサルとディーンが一緒に歌って大盛り上がり。ちなみにSlim Gaillard役を演じていたのは、Kid Creole & The Coconutsのメンバーでもありソロでもレコードを出しているCoati Mundiでした。Gustavo Santaolallaによるオリジナル・スコアも素晴らしかったです。

“On The Road OST” Tracklist:

01. Sweet Sixteen
02. Roman Candles
03. Yep Roc Heresy – Slim Gaillard
04. Reminiscence
05. Mean And Evil Blues – Dinah Washington
06. Lovin’ IT
07. The Open Road
08. A Sailboat In The Moonlight – Billie Holiday
09. Ko-Ko – Charlie Parker
10. Memories/Up to Speed
11. I’ve Got The World On A String – Ella Fitzgerald
12. That’s IT
13. Keep It Rollin’
14. Salt Peanuts – Dizzy Gillespie & Charlie Parker
15. Hit That Jive Jack – Slim Gaillard
16. God Is Pooh Bear
17. Death Letter Blues – Son House
18. I Think of Dean
19. Recording of “On the Road” read by Jack Kerouac himself.

8月 31, 2013 by Tsurutani
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