10月29日にリリースされるArcade Fireのニュー・アルバム『Reflektor』。9月9日に何かが発表されるということで、ウェブやストリートで巧妙なプロモーションがなされていましたが、アルバムからタイトル曲のビデオが2種類公開されました。最初の方は、justareflektor.comのサイトでモバイルやタブレットを使ったインタラクティヴな仕掛けのある映像。2つ目は、アントン・コービンが監督したいわゆるビデオクリップで、どちらもミステリアスな短編映画のようで楽しめます。でも何より、DFAのJames MurphyがプロデュースしたダンサブルなArcade Fireが良いです。途中から聴こえる特徴的な声のコーラスは、ゲスト参加のデヴィッド・ボウイです。
9月21日(土)ユーミン・ナイト
NEWPORTの人気企画「○○ナイト」の最新章は、映画『風立ちぬ』の主題歌としてもタイムリーな「ユーミン・ナイト」です!今回はユーミンのデビューから’89年のアルバム『Love Wars』までの音源の中から、シングル・ヴァージョンを交えながら他アーティストへの提供曲も含め全てアナログレコードで選曲します。選曲者は、これまでに「山下達郎ナイト」「ドナルド・フェイゲン・ナイト」「ビーチ・ボーイズ・ナイト」で渾身の選曲を披露してくれた弓削匠さん。これは間違いありません!どうぞご期待ください!!
<ユーミン・ナイト>
9月21日(土)20:00 – 24:00
選曲:弓削匠 (Yuge)
チャージ・フリー
<これまでの○○ナイト>
ニーナ・シモン
セルジュ・ゲンズブール
ジョニ・ミッチェル
トム・ウェイツ
カエターノ・ヴェローゾ
山下達郎
ドナルド・フェイゲン
ヨ・ラ・テンゴ
シャーデー
YMO
ECM
山下達郎 Vol.2
ロイ・エアーズ
ザ・ビーチ・ボーイズ
今日の一曲 : Slim Gaillard “Yip Roc Heresy”(『オン・ザ・ロード』より)
昨日から公開が始まった『オン・ザ・ロード』を早速観てきました。ジャック・ケルアックの原作『路上/オン・ザ・ロード』は言わずと知れたビート・ジェネレーションを代表する文学作品で、これまでに何度も映画化が企画されるもことごとく頓挫。そして70年代末にフランシス・フォード・コッポラが映画化権を取得し、何人かの脚本家や監督と試みたもののいずれも上手く行かず、2004年の『モーターサイクル・ダイアリーズ』に感銘を受けたコッポラが監督のウォルター・サレスにオファーして遂に実現。原作を読んだ人なら分かると思いますが、この小説の映画化はさぞや大変だったでしょう。ウォルター・サレスはリサーチだけで3年もかけたらしいです。その甲斐もあって、映画は原作の雰囲気がよく出ていて楽しめました。特に俳優たちがみんな、原作の登場人物から想像するキャラクターそのまんまで、これはよくやったなぁと言うしかありません。
原作の時代設定は1940年代後半。ジャズがスウィングからビバップへと移行した時代で、ケルアック自身もジャズの即興演奏に影響を受けたとされ、勢いとリズムを重視した文体で一気に『路上/オン・ザ・ロード』の最終稿を書き上げたと言われています。映画の中でも、ニューヨークのジャズ・クラブでのビバップの演奏に熱狂するシーンや、ホームパーティーでかかる “Salt Peanuts” で踊りまくるシーンがあります。サンフランシスコのクラブでは、Slim Gaillardが演奏する “Yip Roc Heresy” をサルとディーンが一緒に歌って大盛り上がり。ちなみにSlim Gaillard役を演じていたのは、Kid Creole & The Coconutsのメンバーでもありソロでもレコードを出しているCoati Mundiでした。Gustavo Santaolallaによるオリジナル・スコアも素晴らしかったです。
“On The Road OST” Tracklist:
01. Sweet Sixteen
02. Roman Candles
03. Yep Roc Heresy – Slim Gaillard
04. Reminiscence
05. Mean And Evil Blues – Dinah Washington
06. Lovin’ IT
07. The Open Road
08. A Sailboat In The Moonlight – Billie Holiday
09. Ko-Ko – Charlie Parker
10. Memories/Up to Speed
11. I’ve Got The World On A String – Ella Fitzgerald
12. That’s IT
13. Keep It Rollin’
14. Salt Peanuts – Dizzy Gillespie & Charlie Parker
15. Hit That Jive Jack – Slim Gaillard
16. God Is Pooh Bear
17. Death Letter Blues – Son House
18. I Think of Dean
19. Recording of “On the Road” read by Jack Kerouac himself.
9月のNEWSOUNDスケジュール
NEWPORTの毎週土曜のDJイベント、NEWSOUNDの9月のスケジュールです。
9/07 Yoshi Horino (UNKNOWN season/Dirt Crew Recordings)
9/14 馬場一浩
9/21 「ユーミン・ナイト」 選曲:弓削匠 (Yuge)
9/28 青野賢一 (BEAMS RECORDS)
21:00 – 24:00 (9/21のみ20:00 – 24:00となります)
Charge free.
Enjoy music.
*NEWSOUNDとは
様々な選曲者を迎え、通常営業のNEWPORT店内が最高の音楽で彩られます。チャージフリーですので、いつもどおりお食事やワインをお楽しみ頂けます。
今日の一曲 : Willis Earl Beal “Coming Through (featuring Cat Power)”
以前にこちらでも紹介したWillis Earl Bealの2枚目のアルバム『Nobody Knows.』から、楽しみにしていたCat Powerをフィーチャーした “Coming Through” が公開。Cat Powerはデュエットではなくバッキング・ヴォーカルでしたが、まるで60年代のシカゴ産リズム&ブルースといった趣きで最高です(7インチ出ないかな)。アルバムは9月10日リリース。
Willis Earl Bealは、Tim Sutton監督の新作インディー・フィルム『Memphis』に主演していて、自らサントラも手掛けているようです。Tim Suttonはこれまでに『Pavilion』という作品を発表していて、これはSam Prekopがサントラを提供していました。
今日の一曲 : Darkside “Golden Arrow”
Nicolas JaarがギタリストのDave Harringtonと組んでいるユニット、Darksideのアルバムの最初の11分が公開。アルバムはおそらく曲単位では分かれておらず、Jaarのライヴと同じく流動的にテンポや構成を変えて進んで行く長尺なサウンドスケープになっているのではないかと思われます。この11分の音源はJaar自身のOther Peopleというサイトでダウンロード可能で、今後は毎週日曜日にこのサイトで新しい音源が発表されるようですが、ダウンロードはメンバーに限られるとのこと。サインアップのページに行くと、月5ドルまたは年50ドルとなっています。すべてにおいて既存のフォーマットに収まり切らないアーティストだけに、今後の展開が気になるところです。
今日の一曲 : トウヤマタケオ “カリカロ”
ロングセラーとなっているピアノ・ソロ ・アルバム『Waltz In March』以来3年振り、トウヤマタケオの新作『飛ばない日』が9月20日にwindbellからリリースです。アルバムから3曲公開されているのですが、トウヤマさん今回はピアノを弾きながら歌っています。前作同様、シンプルでジェントルで、生身のアーティストがそこにいるかのようなサウンドに嬉しくなります。mama!milkのメンバーが参加した曲も収録です。
『飛ばない日』Tracklist:
01. カリカロ
02. 夕暮れる
03. あれこれ
04. ラドロウ城
05. 遠い 遠い
06. ラオス
07. レミシラぬスミレ
08. カリプソ・ブルー
09. ハルモニア
10. 雲雀
11. Good Day Sunshine
12. マクガフィン
13. 振り子の歌
14. ペルー
15. 旅に出る
16. 月と水
今日の一曲 : King Krule “Neptune Estate”
いよいよ、King Kruleの待望のアルバム『6 Feet Beneath the Moon』が8月27日にリリース。その中から”Easy Easy” に続いて “Neptune Estate” が公開されました。ピッチを遅くしたピアノとドラムのループに、リバーブの効いたギターとホーンが絡む激ディープなトラックはまるで90年代のトリップホップ。とても18歳のアーティストとは思えないこの渋さ。以前にインタビューでGangstarrやDe La Soulが好きだと言っていただけのことはありますね。いやはや参りました。
そしてアルバムのストリーミングも開始。ファンとしては全曲申し分のない出来なのですが、新しい路線でいうと、まるでJames Chanceみたいなパンク・ジャズの “A Lizard State” は必聴です。(下のプレイヤーの使い勝手が良くなくて曲を飛ばせないので、ぜひ全曲聴いてください)
“6 Feet Beneath The Moon” Tracklist:
01. Easy Easy
02. Border Line
03. Has This Hit?
04. Foreign 2
05. Ceiling
06. Baby Blue
07. Cementality
08. A Lizard State
09. Will I Come
10. Ocean Bed
11. Neptune Estate
12. The Krockadile
13. Out Getting Ribs
14. Bathed in Grey
今日の一曲 : Juana Molina “Eras”
かつてはアルゼンチン音響派と呼ばれて、欧米よりも先に日本でブレイクしたアルゼンチンの実験的シンガー・ソングライター、Juana Molinaの5年振りのニュー・アルバム『Wed 21』が10月29日にCrammed Discsよりリリース。その中から最初に公開された “Eras”、いいですね。様々な要素が混ざりながらもシンプルに聴こえて、清涼感たっぷりなのにどこかサイケデリック。まさにフアナ・モリーナのサウンドです。