スウェーデンのシンガー、Victoria Bergsmanのソロ・プロジェクトであるTaken By TreesがSecretly Canadianから10月にリリースするニュー・アルバム『Other Worlds』からの先行シングル『Dreams』が出ました。前作『East Of Eden』はパキスタンで制作されたということでしたが、今回はハワイへの旅からインスパイアされたということで、まさにアイランド・ブリーズな夏感満載のドリーム・ポップでめちゃくちゃ気持ちいいです。12インチのB面に収録された “Dreams (Dub Version)” も最高。
今日の一曲 : Cat Power “Cherokee”
Cat Powerの9月リリースの新作『Sun』からのシングル第2弾は “Cherokee”。そしてなんとNicolas Jaarによるリミックスを収録。さすがChan Marshall、センスありますね。しかもこのリミックス、引きっぱなしで一度も来ないまま終わってしまうのですが、逆にメロディーが際立つ結果に。ヴァイナルが出たら買います。サインアップしてダウンロードもできますよ。
今日の一曲 : Mala “Cuba Electronic”
異種配合こそが新しい音楽の生まれる出発点であり、もっともスリリングな瞬間だということに異論を唱える人はそう多くはないでしょう。ダブステップが誕生したゼロ年代初頭からシーンを牽引するDigital Mystikzの片割れ、Malaがキューバでレコーディングしたセッション音源を元に制作したアルバム『Mala In Cuba』からのファースト・シングルとなる “Cuba Electronic” は、まさにその瞬間を我々に見せつけてくれます。有機的な生音パーカッションとダークかつ重厚な音響空間の融合がほんとにやばい。あまり見たことのないハヴァナの夜のストリートの風景を撮影したビデオクリップもナイス。ぜひともヘッドホンか低音を再生できるスピーカーで聴いて欲しいですね。B面の “Calle F” はピアノとトランペットをフィーチャーしたラテン・ジャズ・ベースでこれまた素晴らしいです。『Mala In Cuba』は9月8日にGilles PetersonのレーベルBrownswoodからリリース。
今日の一曲 : Nutid “Målarna”
8月4日のNEWSOUNDはPekineseのMioちゃんがDJでした。Pekineseは女子二人組の音楽ユニットで、バンドでもDJでもなく、電子楽器を制作することから活動を始めたという変わり種。DJは最近始めたそうですが、現代音楽からフレンチからアートロックまで、正しく文科系女子なセンスを発揮した選曲が良かったです。Nutidというアーティストのことは全く知りませんでしたが、Mioちゃんがファースト・アルバム『Nutid』(2009年)から何曲かかけていて、その度に反応してしまいました。スウェーデンのフォーク・ポップ・デュオで、曲はすべてインストゥルメンタル。一時期の牧歌的なエレクトロニカの人がみんな歌ものになっていったのとは対照的に、インストで貫いているのが逆に新鮮に聴こえるアルバムです。今年の6月にはセカンド・アルバム『Cityflowers』をリリースしていてこちらも良さそう。
今日の一曲 : Kindness & Trouble Funk “That’s Alright”
Kindnessのアルバム『World, You Need A Change Of Mind』は間違いなく今年の上半期のベストの一枚に入る作品ですが、その中の収録曲 “That’s Alright” ではワシントンDCのベテランGo-Goバンド、Trouble Funkの曲をサンプリングしていました。そして今度はサンプリングではなく、Trouble Funkと一緒にKindnessが “That’s Alright” を演奏してしまったというビデオクリップが公開。KindnessことAdam Bainbridgeによると、サンプリングのクリアランスの時に自分の曲を聴いているはずだから、もし興味を持ってくれたら一緒に演奏できるかもしれないと思ってアプローチしたようです。もっとも、彼のDC入りが飛行機の遅延で遅れてしまい、全くリハができなかったため、Kindnessはパーカッション・パッドを叩いているだけでほとんどTrouble Funkの演奏になってますが・・・。しかし30年以上も活動していて今でもこんなにパワフルなんてすごい。
8月のNEWSOUNDスケジュール
NEWPORTの毎週土曜のDJイベント、NEWSOUNDの8月のスケジュールです。
8/04 Mio (Pekinese)
8/11 馬場一浩
8/18 TBA
8/25 青野賢一 (BEAMS RECORDS)
21:00 – 24:00
Charge free.
Enjoy music.
*NEWSOUNDとは
様々な選曲者を迎え、通常営業のNEWPORT店内が最高の音楽で彩られます。チャージフリーですので、いつもどおりお食事やワインをお楽しみ頂けます。
今日の一曲 : Grizzly Bear “Yet Again”
Grizzly Bearの4枚目のアルバム、タイトルが『Shields』に決定して日本盤は9月12日に先行リリース。”Sleeping Ute” に続いて収録曲 “Yet Again” が公開されましたが、これもおそろしくいいですね。『Shields』は彼らの最高傑作となる予感!
Tracklist:
01. Sleeping Ute
02 Speak in Rounds
03 Adelma
04. Yet Again
05. The Hunt
06. A Simple Answer
07. What’s Wrong
08. gun-shy
09. Half Gate
10. Sun in Your Eyes
今日の一曲 : Gary Burton “Chega De Saudade”
7月28日の「真っ青なLive At Newport」はライヴ音源だけで選曲するという企画だったのですが、拍手や歓声が入った曲ばかり大音量で聴いているとだんだんヒートアップしてきて、5時間の予定が7時間以上も盛り上がってしまいました。ジャンルもバラバラで、ヴィンテージなジャズやブルースから80年代のニューウェーヴ、近年の日本のロックまでがごった煮状態。こんなにいろんなライヴが見れたら楽しいだろうな、というまさにフェス状態で楽しかったです。
上のアートワークはジャズ・ピアニスト、Ahmad Jamalの『Live in Concert – Cannes France ’81 featuring Gary Burton』で、この中から山崎真央がかけていたのが “Chega De Saudade”。言わずと知れたジョビン作曲のボサノザ・クラシックですが、この盤の主役のAhmad Jamalの演奏ではなく、この時のライヴにフィーチャーされたヴィブラフォン奏者、Gary Burtonのソロ演奏です。ヴァイブ・ソロで “Chega De Saudade” というのが意表を突いていて、思わず反応してしまいました。真央いわく、この曲はGary Burtonが好んで取り上げていて、自身の作品では『Alone At Last』に収録されていてほとんど同内容の演奏だとのこと。下に埋め込んだライヴ映像はまた別の演奏ですが、これもかなり近い内容です。しかしこのマレット捌きは超絶ですね。
今日の一曲 : Mallu Magalhães “Olha só, Moreno”
熱心なブラジル音楽ファンには怒られそうですが、サンパウロ出身の新世代のシンガー・ソングライター、Mallu Magalhães(マルー・マガリャエス)を最近知りまして、本国では昨年11月にリリースされたアルバム『Pitanga』を繰り返し聴いています。ポルトガル語と英語の歌詞が半々で、音もブラジルとフォーキー・ポップが半々。このブレンド具合がなんとも絶妙で、軽やかで、しかも歌もかわいいしルックスも・・・という類い稀なアーティスト。どうやらこのアルバムのプロデューサーのMarcelo Camelo(マルセロ・カメーロ)が凄い才能の持ち主なんですね。マルーのパートナーでもあるそうです。アルバムのイラストもすべてマルーによるものです。
今日の一曲 : The Invisible “Wings (Floating Points Remix)”
Herbertのレーベルから2009年にデビューしたバンド、The Invisibleが先月Ninja Tuneからリリースしたセカンド・アルバム『Rispah』からのシングル・カットとなる『Wings』。オリジナル・ヴァージョンは憂いを帯びた大人っぽいロックといった趣きですが、その曲のFloating Pointsによるリミックスが本当に気持ち良くてたまらない。まるで水の中でゆらゆら揺られているかのようなアンビエント・ベース・ポップは聴いたことのない世界観。Floating Pointsは天才ですね。ヴァイナルまたはダウンロードで入手可能です。